住宅ローンの返済に困難を感じる人が増加している昨今、その背景や対処法を理解することが重要になっています。本記事では、住宅ローンを払えない人が急増している現状を踏まえ、その理由や影響、そして対処法について詳しく解説します。
住宅ローンを払えない人が急増している?
近年、住宅ローンを払えない人が急増しており、独立行政法人住宅金融支援機構の「統合報告書」によるとリスク管理債権(滞納や破産などにより通常道理の回収ができなくなった債権)は、約3%に達しているという結果が出ています(※)。これは、100人に3人程度が住宅ローンの返済に行き詰っている計算です。
長期にわたる住宅ローン返済期間中に、何らかの原因によって支払いが困難になるケースは決して珍しくありません。無理な返済計画や頭金なしでの購入などは、破綻につながるリスクが高くなるため注意が必要です。
※出典:独立行政法人住宅金融支援機構(「リスク管理債権」より)
住宅ローンを払えない人が急増している背景・理由?
住宅ローンを払えない人が急増している背景・理由には、主に以下の4つが影響していると考えられます。
収入の減少
多くの人が収入減少を経験しています。これは住宅ローンの返済が困難になる最も一般的な原因のひとつです。収入減少の背景には以下のような要因があります。
・景気の悪化による給与カット
・雇用形態の変更(正社員から非正規雇用へ) ・失業やリストラ ・新型コロナウイルスの感染拡大 |
実際、住宅ローンの支払いが延滞した主な原因として、全国不動産売却安心取引協会が実施した調査結果によれば「収入減」が36.0%と最も多く、「リストラ・倒産」が10.1%(※)となっています。これらを合わせると、約半数の人が収入減少により延滞に至っていることがわかるでしょう。
※出典:おうち売却の達人 調べ
予期せぬ支出の増加
突然の支出増加も、住宅ローンの返済を困難にする要因のひとつです。
・医療費の増加(家族の病気や事故)
・教育費の上昇(子供の進学など) ・物価高騰 ・離婚による養育費の負担 |
同調査結果によると、「病気・事故」が7.2%、「離婚・別居」が8.6%(※)の割合で延滞の原因となっています。
※出典:おうち売却の達人 調べ
金利環境の変化
近年の経済状況により、変動金利の上昇が懸念されています。金利が上昇すると、毎月の返済額が増加し、返済が困難になるケースが増える恐れがあることに注意しなければなりません。
住宅価格の高騰
ウッドショックやコロナによる原材料価格の高騰、さらに需要の増加により住宅価格が上昇しています。これにより、住宅ローンの借入額が増加し、返済負担が重くなっているケースも見られます。
住宅ローンを払えないとどうなる?
住宅ローンを払えなくなった場合、滞納状況に応じて債務者に様々な影響が生じます。以下に主な流れと起こりうる事態を解説します。
滞納初期の状況
滞納が始まると、金融機関から電話や支払いのお願いの通知が届きます。2~3ヶ月以上滞納が続くと、来店依頼状や督促状が送られてきます。
信用情報機関への登録
通常、3ヶ月程度の滞納で個人信用情報機関に金融事故の情報が記録されます。これにより、クレジットカードの作成や他のローンの利用が困難になるケースがあります。
期限の利益の喪失
月々の住宅ローンの支払いを3ヶ月~6ヶ月にわたって滞納すると、「期限の利益の喪失」となり、残りの借入金を一括で返済しなければなりません。また、期限の利益を喪失した後は滞納分を返済したとしても、期限の利益が復活しない点に注意しましょう。
保証会社の代位弁済
保証会社から「代位弁済通知書」が届きます。保証会社が債務者に代わって一括で返済を行いますが、その後、保証会社から全額を一括で返すように請求されるので注意しましょう。
競売手続きの開始
一括返済に応じられない場合、「担保不動産競売開始決定通知」が届きます。裁判所の権限で自宅の調査が行われ、競売の手続きが進められます。
競売と立ち退き
競売で物件が売却されると、最終的に家から立ち退きを求められます。応じない場合、強制執行の手続きが取られる恐れがあるので注意しましょう。
金銭的なリスク
競売で得られる金額は通常、市場価格の50~70%程度まで下がるため、住宅ローンを完済できない可能性があります。さらに、遅延損害金として年14~14.6%程度の利息が発生する場合もあるでしょう。
住宅ローンの返済が困難になった場合は、早めに金融機関に相談し、返済計画の見直しや借り換えなどの対策を検討することが重要です。
住宅ローンが払えない場合の対処法
住宅ローンが払えない場合、状況に応じて様々な対処法があります。主な対象法について、それぞれみていきましょう。
金融機関への相談
住宅ローンの返済が困難になった場合、まず金融機関に相談することが大切です。多くの金融機関は借り手の状況を理解し、以下のような対応を検討してくれるかもしれません。
・返済期間の延長
・一時的な返済額の減額 ・返済の一時停止(モラトリアム) |
これらの措置により、月々の返済負担を軽減できるケースがあります。
借り換えの検討
金利が下がっている場合や、他の金融機関がより有利な条件を提示している場合は、住宅ローンの借り換えを検討するのもよいでしょう。借り換えにより、以下のメリットが得られる可能性があります。
・月々の返済額の減少
・総返済額の削減 ・より柔軟な返済条件の獲得 |
ただし、借り換えには諸費用がかかるため、慎重に検討する必要があります。
任意売却の検討
最終的に返済が困難と判断された場合、任意売却を検討することも選択肢のひとつです。任意売却とは、債務者自身が不動産を売却し、その売却代金でローンの一部または全部を返済する方法です。一般的に、競売よりも高値で売却できる傾向にあります。
住宅ローンが払えない場合には
住宅ローンの返済困難は、収入減少や予期せぬ支出増加、金利環境の変化、住宅価格の高騰など、様々な要因で発生する可能性があります。もし、返済に不安を感じた場合は、以下の3点を必ず意識しましょう。
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返済困難な状況は誰にでも起こり得ます。重要なのは、問題を放置せず、できるだけ早い段階で適切な対応を取ることです。金融機関や専門家に相談し、自分に合った解決策を見つけることをおすすめします。
スコーポレーションでは、任意売却に関する豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、お客様の状況に応じた最適なアドバイスを提供いたします。住宅ローンの返済でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール
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株式会社テスコーポレーション 営業部部長
宅地建物取引士・任意売却取扱主任者・競売不動産取引主任者・賃貸不動産経営管理士・マンション管理業務主任者
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