任意売却の相談に伴って弁護士と接する機会が多く御座いますので、このブログを通じてご相談者様の知識の一環として、弁護士数の推移と今後の展望についてご紹介します。
弁護士とは
弁護士とは、依頼を受けて法律事務を処理することを職務とする専門職になります。
民事訴訟では、訴訟代理人として主張や立証活動等を行います。また、破産や民事再生、会社更生法の申請などの法的倒産処理手続、これに関連する管理業務などの法律事務を行い、関連する法律相談も行います。
刑事訴訟では、弁護人になり被告人の無罪を主張し、あるいは適切な量刑が得られるように、検察官と争います。
弁護士になる為には、特例を除いて、法科大学院課程を修了するか、司法試験予備試験に合格した後、司法試験に合格し司法修習を経て、日本弁護士連合会に登録を受けなければなりません。
弁護士の証である弁護士バッジは、『自由と正義』を表す「ひまわり」と、「公正と平等」を表す「天秤(はかり)」がモチーフとして描かれています。
弁護士数の推移
日本弁護士連合会の設立直後の1950年時点では約5,800人だった弁護士数が、その後は増加を続け、2021年時点では43,000人を超えています。
司法制度改革
弁護士数増加の背景には、2000年ごろに始まった司法制度改革があり、裁判の迅速化とともに法曹人口の拡充が進められた結果です。
具体的には、「法科大学院の開校」と「司法試験制度の見直し」が挙げられます。
司法試験の見直しは、一次試験と二次試験、さらに口述試験があるなど難関であり、合格率は5%にも満たない状況でしたが、新司法試験では、法科大学院で学べるようになったり口述試験が廃止されたりしたことで合格率が大幅に上がりました。2021年では1,421人41.5%となっています。
都道府県別に見る弁護士数の推移
弁護士数は全国の中で東京都が圧倒的に多く、地方の県で少ない傾向にあります。
2位の大阪府、4,787人に対し、東京都は、20,923人と圧倒的に弁護士数が多くなっています。
人口1万人当たりの弁護士数においても、大阪府5.41人に対し、東京都14.88人と人口比率においても、東京都に弁護士が集中していることが分かります。
弁護士市場
司法制度改革は、国民が法的サービスを身近に感じ、活用する機会を増やすことでしたが、欧米と違い日本では、もともとトラブルの解決に法的手段を用いる習慣があまりありません。
日本人は、トラブルに発展させないように当事者間の話し合いで解決するケースが多い傾向にあり、弁護士市場の拡大を緩やかにしている一因と言えます。
弁護士数は増加しているものの、弁護士が対応する案件の数が弁護士数の増加には追いついていないのが現状です。
最近では、そのような要因も踏まえ、「企業内弁護士」として会社に所属する弁護士も多く見受けられます。
弁護士の取り組む案件が増えないにもかかわらず弁護士数が増えている状況の中で、都会では弁護士が多すぎて飽和状態になっている反面、地方では弁護士数は少ないものの、都会ほど案件数が多くないため活躍の場がないと聞かれます。
弁護士数の展望
弁護士数の増加傾向は顕著ですが、今後の推移は以下のように見積もられています。
弁護士数増加に伴い弁護士一人当たりの国民数は減少の一途をたどりますので、弁護士が社会の中でより身近な存在になりそうです。
弁護士の業務においては、脱印鑑やネット契約などの時代の移り変わりに伴うIT関係の法律業務や知的財産における法律業務、個人情報保護に関する法律業務などの新分野が多岐にわたってきています。
※表は全て日本弁護士連合会「弁護士白書2021」より抽出しております。
弁護士の推移 まとめ
弁護士数は増加の一途をたどっていますが、都市部に集中し飽和状態にあります。但し、企業内弁護士や新分野の法律業務など多岐にわたり活躍の場も広がってきていると思われます。
一般生活においても、弁護士がより身近になり法律相談の敷居が低くなってくると思われます。
弊社では、住宅ローンの返済についてや、多重債務、離婚など、提携の弁護士への法的なご相談も可能です。
ご相談いただきましたら、最善の解決方法をご提案いたします。
投稿者プロフィール
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株式会社テスコーポレーション 営業部部長
宅地建物取引士・任意売却取扱主任者・競売不動産取引主任者・賃貸不動産経営管理士・マンション管理業務主任者
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