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任意売却のメリットって?デメリットや注意点も解説

近年、経済状況の変化や予期せぬ事態により、住宅ローンの返済が困難になるケースが増えています。そのような状況下で注目されているのが「任意売却」という選択肢です。任意売却は、競売を回避しつつ、住宅ローンの問題を解決する方法として重要性が高まっています。

本記事では、任意売却のメリットとデメリット、そして注意すべきポイントについて詳しく解説します。

任意売却とは?

任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者(金融機関など)の同意を得て、債務者(住宅所有者)自身が不動産を売却する方法のことです。競売との大きな違いとして、債務者が主体的に不動産を売却できる点が挙げられます。

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また、任意売却が選択される状況として、以下のようなケースがあるでしょう。

・失業や収入減少により、住宅ローンの返済が困難になった
・離婚や病気など、生活環境の大きな変化により返済が難しくなった
・住宅の価値が下落し、ローン残高が物件価値を上回ってしまった(いわゆる「負の資産」状態)

続いて、任意売却のメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

任意売却のメリット

任意売却のメリット

任意売却によって得られるメリットは以下の通りです。

競売よりも高い価格で売却できる

任意売却の最大のメリットは、競売よりも高い価格で不動産を売却できる可能性が高いことです。競売の場合、物件の契約不適合が免除されるため、買主は大きなリスクを負うことになります。そのため、競売物件は市場価格の6割〜7割程度の売却価格となり、通常よりも大幅に安い価格で落札されることになるでしょう。

一方、任意売却の場合は通常売却で売却されるため、競売と比較すると30%~40%高い価格で売却できる可能性があります。

プライバシーが守られる

競売の場合、物件情報が公開されるため、近隣住民や知人に経済的困窮の状況を知られてしまうことも少なくありません。しかし、任意売却であれば通常の不動産取引と同様に扱われるため、プライバシーを守ることができます。

これは、債務者の社会的信用や精神的負担の観点からも、非常に大きなポイントといえるでしょう。

新しい住居を探す時間を確保できる

競売の場合、落札後は速やかに退去する必要があります。通常、明け渡しまでの猶予期間は2週間程度と非常に短く設定されているケースが大半です。

一方、任意売却の場合は、買主との交渉次第で競売よりも長い退去期間を設定できる可能性があります。新しい住居をじっくりと探す時間的余裕が生まれるほか、引っ越しの準備や子供の転校の手続きなども、焦らずに進められるでしょう。

柔軟な条件交渉が可能

残債の分割返済が可能です。任意売却後の収入状況により生活の負担にならない範囲での返済が認められます。また、利息や損害金が免除となることが一般的です。

諸費用が掛からない

通常の不動産売却では、仲介手数料や登記費用などの諸費用が掛かってきますが、任意売却における諸費用は売却価格から充当されるため、手出しで諸費用を準備する必要はありません。
したがって、手元にまとまった現金がなくても、諸費用を自己負担する必要がなく、売却を進めることができます。

任意売却のデメリット・注意点

任意売却のデメリット・注意点

任意売却にはさまざまなメリットがある一方で、次のようなデメリットもあります。

債権者の同意が必要

任意売却を行うためには、まず債権者の同意を得なければなりません。債権者が任意売却に同意しない場合、競売に移行してしまう恐れがあります。

同意を得るためには、返済困難に陥った理由や、任意売却後の残債の返済計画などを明確に説明することが大切です。場合によっては、専門家のサポートを受けながら、丁寧に交渉を進めることも必要でしょう。

連帯保証人の同意も必要

住宅ローンに連帯保証人がいる場合、任意売却には連帯保証人の同意も必要となります。任意売却後も残債が残る場合、連帯保証人にも返済義務が生じる可能性があるためです。連帯保証人との交渉は多くの場合、不動産会社の担当者が担うことになりますので、信頼できる担当者を見つけられるかどうかが大事になります。

売却までの期間が不確定

任意売却は、通常の不動産取引と同様に買主を見つける必要があります。そのため、売却までの期間が不確定であり、市場環境によっては長期化する恐れがあります。

売却が長引けば、その間のローン返済や管理費などの負担が続くことにも繋がりかねません。できるだけ早期に適切な価格で売却できるよう、早い段階で信頼できる業者、担当者を見つけければなりません。丁寧な対応でレスポンスの早い担当者を選ぶとより確実でスムーズに進められます。

信用情報機関に登録される可能性がある

住宅ローンの返済を滞納すると、個人の信用情報に「事故情報」として記録される可能性があります。登録された場合には一定期間、金融機関からの借入やローンの利用に制限がかかってしまいます。

自己破産以外は売却後に残債が残る

不動産の売却金額がローン残高を下回る場合、その差額(残債)は債務者が負担しなければなりません。
自己破産をされる場合以外は残債が残ってしまいます。

任意売却のメリット・デメリットについて

任意売却には、競売よりも高値で売却できる可能性が高いこと、プライバシーが守られること、新しい住居を探す時間的余裕ができることなど、多くのメリットがあります。しかし、その一方で、債権者や連帯保証人の同意が必要であることや、売却期間が不確定であること、信用情報機関に登録される可能性がある、売却後に残債が残る場合もあるといったデメリットがあることに注意しなければなりません。

任意売却を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて慎重に判断することが大切です。また、専門家のアドバイスを受けながら進めることで、よりスムーズな任意売却が可能となるでしょう。

テスコーポレーションでは、任意売却に関する豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、お客様の状況に応じた最適なアドバイスを提供いたします。債務整理や任意売却に関してお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

北村 聡孝
北村 聡孝
株式会社テスコーポレーション 営業部部長
宅地建物取引士・任意売却取扱主任者・競売不動産取引主任者・賃貸不動産経営管理士・マンション管理業務主任者
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