不動産広告の見方 はじめに

不動産を探すとき、最初に目にするのが不動産広告です。
チラシ・インターネット・情報誌などさまざまな形がありますが、広告には法律で決められた「必ず記載しなければならない情報」と「任意で載せる情報」があります。広告を正しく読み解くことで、希望に合った物件を効率よく見つけられ、後々のトラブルも防げます。

不動産広告を見るとどうしても写真や間取りだけに目が行ってしまいますが、実は小さい字でいろいろ書かれている物件概要が実際に住んでいくにあたりとても重要なことが記載されていますので、その内容については十分理解しておく必要があります。ここでは、不動産広告をチェックする際の ポイント注意点 を解説します。

規制不動産広告には、消費者保護を目的として、その表示方法などに関していくつかの規制があります。
・宅地建物取引業法による規制で、誇大広告の禁止や広告の開始時期の制限などが定められています。
・公正取引委員会の認定を受けた業界の自主規制である「不動産の表示に関する公正競争規約」では、広告の表示の仕方や基準などが定められています。

不動産広告に必ず表示される情報

不動産の広告には「宅地建物取引業法」に基づき、消費者に誤解を与えないよう一定のルールが定められています。代表的な項目は以下の通りです。

表示内容 説明 注意点
価格 販売価格または賃料 「頭金○万円~」「月々○万円~」の表示だけではなく、総額を確認しましょう。
所在地 物件の所在地 「○○市△△町まで」と曖昧に書かれている場合は、詳細な場所を必ず確認。
交通 最寄り駅・バス停からの距離 徒歩表示は「80m=1分」で計算。坂道や信号待ちは考慮されていません。
土地面積・建物面積 登記簿面積や予定面積 「有効宅地」か「セットバック部分を含む」か要注意。
間取り 部屋数や配置 実際の暮らしやすさは現地見学でチェック。
築年数 新築・築年数 「新築」は完成後1年未満で未使用のものだけ。
取引態様 売主・代理・媒介 仲介手数料の有無に関わる重要情報。

不動産広告でよくある表現と見方

広告には魅力的に見せるためのキャッチコピーが並びますが、正しく理解することが大切です。

キャッチコピー「駅近」 … 駅から徒歩10分以内が多いが、必ず分数を確認。
「閑静な住宅街」 … 本当に静かな環境かは現地で確認。近隣に工場や幹線道路がある場合も。
「日当たり良好」 … 周囲の建物状況で大きく変わる。必ず現地の時間帯を変えて確認。
「管理費込み」 … マンションの場合、修繕積立金など別途費用がかかることも。
「建築条件付き土地」 … 指定された建築会社で建てる必要がある。自由に業者を選べないので注意。

チェックすべき重要ポイント

価格の妥当性

同じエリア・同じ広さの物件と比較しましょう。相場より極端に安い場合は理由を確認。

権利関係

所有権か借地権か、また抵当権が設定されていないかを確認。

周辺環境

学校・スーパー・病院など生活利便性に加え、治安や災害リスクも調査が必要。

管理・修繕状況(マンションの場合)

管理組合の運営状況や大規模修繕の履歴・計画もチェックしましょう。

広告の時期

情報が古いまま掲載されているケースもあるため、必ず現況を確認することが大切です。

備考欄に記載されている注意点・市街化調整区域内の土地
・接道義務を満たしていない
・セットバックが必要
・古家あり
・高圧線下にある土地
・傾斜地を含む土地、不整形地など
・建築条件付き土地
・告知事項あり

不動産業者の内容

取引様態

広告を掲載している不動産会社の取引様態(立場)が必ず明示されます。不動産会社の取引様態によって仲介手数料が変わります。

媒介 売主と買主の間に立って取引を行うので、基本的に仲介手数料が発生します。売主と買主の間に仲介会社が1社の時と2社の時とありますが、売主でも買主でも手数料は1社にしか支払いません。
売主 土地・建物等を不動産会社が自ら保有し、直接売却する立場なので、仲介手数料はかかりません。
代理 売主の代理人であることを表します。基本的に仲介手数料はかかりません。

免許番号

株式会社テスコーポレーション 東京都知事(7)第072713号

不動産会社名と一緒に免許番号が記載されています。宅地建物取引業において必要となります。例の場合、免許権者は東京都知事となります。事務所が複数の都道府県にある場合は国道交通大臣が免許権者になります。()内の数字は免許の更新回数です。数字が多いほど、営業年数が長いことを表します。1996年以降は5年に一度の更新で、それ以前は3年に一度でした。例は平成4年からなので、免許更新回数は(7)となります。(1)の場合、設立5年未満の会社です。

違法広告

おとり広告

集客のために虚偽の誇大宣伝を謳う広告をいいます。景品表示法第4条第1項第3号の規定に基づく「不動産のおとり広告に関する表示」において不当表示と規定された広報内容はおとり広告とみなされます。
不動産広告で実際にはない架空物件、あっても既に売却が済んでいる物件、所有者に売却の意思がない物件などがおとり広告にあたります。

デメリットの非表示

購入するかどうかの判断に影響を与えるような内容は広告に記載しないといけません。例えば、「再建築不可」だから価格が相場より安く販売されているのに、「再建築不可」と広告になければ、広告を見た人に掘り出し物と誤認させてしまいます。

二重価格の表示

販売したい物件に対し割高表示の不動産を比較表示し、実際販売価格を低価格と誤認させる広告をいいます。
例えば、新古住宅を販売するときに、当初分譲していた価格も表示して「通常6,000万円が今なら4,000万円」などといって販売することはできません。但し、新古住宅を以前の価格と合わせて記載する場合、本当に値下げより3ヶ月以上前に公表され、3ヶ月以上販売していたが、「売れなかったときの値段」であれば、二重価格表示になりません。

使用できない表現

「完璧」、「抜群」、「最高」、「格安」などの表現は優良誤認表示ともいい、具体的な根拠を併せて乗せなければ広告に使用できません。

広告の時期

造成許可が必要なのに、それを受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない新築の分譲地の広告は出せません。新築の分譲住宅の広告にはその建物の建築確認番号を記載しなければなりません。そのため、間取りが確定していない広告(広告に間取りはでているが、間取りは替えれますという内容のもの)は違法となります。

捨て看板など

よく電柱などに設置されている広告は同ページにある「不動産広告の見方 物件の基本的内容」にある広告に載せなければならない内容が記載されていないため、違法となります。看板を電柱などに設置しているときは軽犯罪で逮捕することも可能です。

不動産広告の見方 まとめ

不動産広告は物件を選ぶための第一歩ですが、広告だけで判断せず、現地確認や詳細資料の取り寄せが欠かせません。
「広告を鵜呑みにしない」「自分の目で確かめる」ことが、安心して不動産を購入・賃貸するための大切なポイントです。

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