戸建とマンション どちらが良いか?徹底比較
住宅購入を検討する際、多くの方が「戸建」と「マンション」のどちらが良いか迷われます。よく受ける質問ですが、この質問に答えはありません。まずはどういった家に住みたいのかを、あれこれ考えることから始めるといいと思います。ほとんどの方が一生に一度の高い買い物です。希望と期待を持って探してください。
また、住み心地だけでなく、資産価値・将来の売却・相続時の取り扱い・維持費や税金まで考えると選び方は変わってきます。
ここでは、一般的な比較に加え、不動産の専門的な視点からも詳しく解説します。
戸建とマンション メリット比較
戸建のメリット
①音を気にしなくていい
戸建住宅は建物が独立しているので、マンションのように上の階の住民、下の階の住民、両隣の住民への気配りは不要です。もちろん、音の度合いや住んでいる方にもよるので、全く問題がないというわけではありませんが、マンションと比較すると歴然だと思います。また、プライバシーは確保しやすいと思われます。
②建て替え、リフォームがしやすい
マンションだと管理規約に従わないといけないため、建て替えすることはほとんどありませんが、非常にハードルは高いです。リフォームにしても、規約による制限、構造上の制限があったり、上下両隣に同意を得なければなりません。厳しいところは上下3階部分までの確認を必要とするところもあります。それと比較して戸建の場合、部屋を1つ増やしたりと、自由度の高いリフォームが可能ですし、もちろん近隣住民の同意も不要です。取り壊して、建て直すこともできるのが大きな魅力のうちの1つだと思います。
③駐車場が無料
駐車スペースがあることが前提ですが、マンションと違って利用するのに費用は別途かかりません。例えばマンションの駐車場代が月額1万円の場合、年間12万円、35年で420万円かかります。車を2台所有している場合、1台は敷地内に借りれても、2台目は敷地外の月極駐車場を利用しなくてはならないケースが多いです。そのため、2台以上車を保有されている方は戸建を希望される方が多いです。
④管理費・修繕積立金がない
マンションでは必ずといってもいいくらい管理費・修繕積立金が発生します。エリアやグレードによって変わりますが、合わせて2万円位が目安になると思います。この費用がかかるから戸建を希望される方も多いです。ただ、修繕については、長く使用されるのであれば、当然、戸建にも必要な費用となります。それをまとめて払うか月々払うかの違いだと思います。コツコツ修繕費用を貯める自信がなければ、マンションの方がいいかもしれません。
⑤広い
マンションの場合、間取りは3LDKで70㎡が主流ですが、戸建の場合、4LDKで90㎡以上が主流と思われます。階段スペースを除いても戸建の方が広いです。お子様が2人いると子供に各部屋も割り当てられ、夫婦それぞれの部屋も確保しやすくなります。自分の部屋へのこだわりの強い方には戸建が向いているかもしれません。
マンションのメリット
①立地が良い
戸建よりも駅に近い物件は充実しており、利便性が高いです。戸建の場合だと、駅に近くても狭小だったり、高かったり、満足度の高いものを探すと予算がオーバーするケースが多いです。マンションだと駅から直結で雨の日でも濡れずに駅から部屋まで行ける物件も中にはあります。電車利用が多いせいか、駅から近いマンションは、駐車場の空きが多く見受けられます。
②セキュリティが高い
マンションの場合、小さいお子さんがいるご家庭では、セキュリティ面で安心だからという理由でマンションを選ばれる方もいます。戸建でセキュリティを充実される場合、「セコム」などの警備会社と契約したりする場合が主流ですが、それなりの費用がかかります。マンションの設備では以下のものがあります。
・管理員・警備員・・・昼間に一人の管理員が清掃・管理を行うところが主流ですが、同時に複数の管理員で管理したり、夜間は警備員がいたり、24時間体制での有人管理をするマンションもあります。
・プレイロット(敷地内公園)・・・数棟で構成されているような大規模マンションでは部外者が侵入しにくい公園や遊具などがあり、安心して子供を遊ばせることができます。
・宅配ボックス・・・不在時に届いた宅配物を預かってくれる設備はマンションの標準設備になってきています。
③ワンフロアで生活ができる
戸建に住まれている年配の方が、駅に近いマンションに住み替えるケースがよくありますし、そのことを見越してマンションを選ばれる方もいます。洗濯機が1階で2階のベランダに洗濯物を干すことが多いですが、洗濯物を持って2階に行くのが年々しんどくなるとよく聞きます。マンションは生活導線がスムーズで家事が戸建に比べて楽です。
④眺望が良い
低層階だとこの恩恵はあまりありませんが、たまに話題になるタワーマンション上層階ともなると戸建では味わえない眺望を得ることができます。お部屋によっては日当たりや風通しがよく、夏場でもクーラーはつけないという方もいらっしゃいます。また、戸建より気密性が高い建物なので、冬場は光熱費も安くつくとも聞きます。
戸建とマンションの資産価値の違い
戸建の場合
建物は築年数が経つと価値が下がりますが、土地は経年劣化によって、価値が下がるものではありませんので半永久的に資産として残ります。そのため「土地付き戸建」は資産性が高く、相続財産としても評価されやすい特徴があります。
マンションの場合
立地条件に大きく影響され、築年数が経つと建物価値は下がりやすいです。ただし、人気エリアや駅近物件では、資産価値が維持される場合もあり、将来の売却を視野に入れる場合は「立地の良さ」が重要になります。
将来の売却を考えた場合
戸建
築20〜30年を超えると建物価値はほとんどなくなり、土地のみの価格で売却されるケースが多いです。
ただし、整形地・駅近・需要のあるエリアなら資産価値が高く保たれます。
マンション
築年数が進んでも、駅近や大規模マンションなどは一定の需要があり、中古市場でも売却しやすい傾向があります。
ただし、管理状態が悪いマンションは評価が下がりやすいため、管理組合の運営状況も売却時の重要ポイントです。
相続時の取り扱い
戸建
土地は分割が難しいため、複数の相続人がいる場合にトラブルが生じやすい。
ただし、土地の評価減(小規模宅地等の特例)を利用できる場合があり、相続税対策になることもあります。
マンション
区分所有で明確に分けられる資産なので、評価がしやすい。
戸建よりも相続人間の分配がスムーズに進むケースが多いです。
維持費・税金の違い
項目 | 戸建 | マンション |
---|---|---|
固定資産税 | 土地+建物に課税。土地が広いと高額になる。 | 建物+敷地持分に応じて課税。 |
修繕費 | 自己負担で計画的に実施。屋根・外壁・設備更新などまとまった出費がある。 | 管理組合により修繕積立金を毎月支払い、計画的に大規模修繕が実施される。 |
管理費 | 不要(自己管理)。 | 管理費が毎月発生。共用施設が多いほど高額。 |
専門家の視点から見る選び方
専門家の視点
長期的な資産形成を重視するなら戸建
土地が残るため、将来的な資産価値を確保しやすい。
利便性や将来の売却を重視するならマンション
駅近や好立地であれば、築年数が経過しても売却しやすい。
相続を意識するならマンションも有利
分割のしやすさから、相続トラブル回避につながる。
ランニングコストを抑えたいなら戸建
毎月の管理費・修繕積立金が不要なため、支出が読みやすい。
戸建とマンション どちらが良いか?徹底比較 まとめ
戸建とマンションは、それぞれ異なる魅力とリスクを持っています。将来、5年、10年と短期間で売却するなら、価値が落ちにくいマンションがいいと思いますし、30年、40年と長期保有するのであれば、価値が下がりにくい、まとまった土地のある戸建の方が有利だと思います。
戸建の場合、ローンも払い終わって、建物を取り壊して子供が建物の費用だけで新築を建てることもあります。こういった将来の利用価値を見込めるところがポイントになります。
マンションの場合、都心や地方でも駅直結などの好立地だと購入時よりも高い金額で売却できたりしますので、マンション購入時は立地状況はよく見るべきポイントになります。
「住みやすさ」だけでなく、資産価値・売却・相続・税金といった専門的な要素を考慮することで、より後悔のない選択ができます。購入前には、現在のライフスタイルだけでなく、10年後・20年後の生活設計や資産形成の視点からも検討されることをおすすめします。