不動産広告の見方
不動産広告には、消費者保護を目的として、その表示方法などに関していくつかの規制があります。
ひとつは宅地建物取引業法による規制で、誇大広告の禁止や広告の開始時期の制限などが定められています。
また、公正取引委員会の認定を受けた業界の自主規制である
「不動産の表示に関する公正競争規約」では、
広告の表示の仕方や基準などが定められています。
不動産広告を見るとどうしても写真や間取りだけに目が行ってしまいますが、実は小さい字でいろいろ書かれている物件概要が実際に住んでいくにあたりとても重要なことが記載されていますので、その内容については十分理解しておく必要があります。
執筆者:家原哲生
株式会社テスコーポレーション 営業主任
宅地建物取引士・2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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物件の基本的内容
①新築、中古の別
不動産広告では、建築後1年未満かつ未入居を「新築」と表示し、それ以外は「中古」と表示されます。
そのため、新築で1年を超えると「新築」と表記できません。
②現地写真
原則として実際に取引されるものでなければ広告に掲載してはならないことになっています。
但し、建物が建築工事の完了前などの場合は、実際に販売する建物と同じものであれば、他の物件の写真をそのことを明示して使用できることになっています。
③価格(最多価格帯)
建物にかかる消費税込みの価格となります。土地には消費税はつきません。
新築マンションなどの場合、最も安い価格から最も高い価格の表示。最多価格帯とは最も物件が多い価格帯をいいます。
中古物件で個人間での売買では消費税はかかりません。
④交通
徒歩による所要時間は、駅からの道路距離80mを1分(端数切り上げ)として計算されます。
信号の待ち時間や歩道橋の上り下り、坂道、道路の横断などにかかる時間は考慮されていません。
また、改札口からではなく、物件にいちばん近い駅の出入り口が基準になるため、ホームまではもっと時間がかかることもあります。
なお、80m1分の表示はハイヒールを履いた女性の速度を基に算出したといわれています。
⑤所在地
敷地の登記地番をいいます。新
聞、雑誌広告などでは地番は省略されることもあります。地番とは登記記録(登記簿)に表示された地番のことで、一般的に使われる住居表示の番号とは異なる場合があります。
⑥敷地面積
主に㎡単位で表示されますので、坪単位での表示がない場合もあります。
㎡単位で表示されている面積に0.3025を乗じると坪単位の表示になります。
私道負担面積は購入する土地から私道として負担する面積がある場合、その旨を記載しなければなりません。私道負担●●㎡とある場合、この分狭くなります。
⑦建物面積
主に㎡単位で表示されます。地下室や車庫を含む場合は、その旨とその面積を表示することになっています。
マンションのバルコニーや室内の天井を高くして2層式にした屋根裏収納(グルニエ)などは、面積には入りません。
マンションの場合は壁芯面積(部屋を上から見て壁の中央からの内側を面積とする)で記載します。
⑧間取り
間取りが例えば4LDKのとき、4は居室の数、Lはリビング、Dはダイニング、Kはキッチンを表します。
居室には一定の採光が決まっているので、それに満たない場合、見た目が居室でもS(サービスルーム)やN(納戸)と表記されます。
広さが5帖以上あれば、居室のように使われているのが一般的です。
⑨構造
戸建は木造が主流ですが、ハウスメーカーの建築物は軽量鉄骨造も目立ちます。稀に重量鉄骨造もあります。
マンションの場合、鉄筋コンクリート造をRC造、鉄骨鉄筋コンクリート造をSRC造と表記します。そのため、マンションの方が耐震性、耐火性は優れています。
マンションの場合、建物全体の階数、物件の所在階数、全戸数も記載されています。
⑩建蔽率(けんぺいりつ)
敷地面積に対する建築面積の割合をいいます。
例えば、建蔽率50%の場合、敷地100㎡であれば、建築面積は50㎡までしかとれません。50㎡以上は空き地になります。
⑪容積率
敷地面積に対する建物の総床面積をいいます。
例えば、容積率200%の場合、敷地100㎡であれば、建物の総床面積は200㎡までしか建てることができません。
⑫管理費・修繕積立金等
マンションの場合、管理組合が徴収している管理費の月額、修繕積立金の月額を記載します。
その他お部屋によっては、専用庭使用料、ルーフバルコニー使用料といったものがあります。
また、マンションによっては、監視カメラ使用料、CATV使用料等もあります。
⑬管理方式(マンションの場合)
マンションの管理人の勤務状態を表します。
日勤は管理会社が委託した管理人が決められた曜日、時間帯に出勤して管理します。
常駐はマンションに管理人が住み込みで管理しています。
巡回は例えば1週間に2回、掃除等だけをします。自主管理は管理会社に委託せず、管理組合でマンションを管理し、清掃だげ外注したりします。
物件の注意すべき内容
下記内容は主に備考欄などに記載されていることが多いです。
①市街化調整区域内の土地
都市計画で市街化調整区域と定められた区域内では、原則として土地の造成や建物の建築はできませんので、その旨を明示することになっています。
②接道義務を満たしていない
併せて「再建築不可」と記載されます。建築基準法に規定する道路に2m以上接していない土地などには、建物の建築ができません。
③セットバックが必要
セットバックとは、土地に接する道路の幅員が4mに満たない時に、道路の中心から2m後退して建物を建築することをいいます。
後退した部分は道路と見なされ、建物を建築することはできません。セットバックを要する土地については、その旨が表示されます。
また、セットバックを要する部分の面積がおおむね 10%以上である場合は、その面積も表示されます。
④古家あり
「上物あり」とも記載されます。主に土地の取引の時に土地の現在の状況を表すときに使用し、敷地内に建物がある場合にこのように表します。
建物がない場合は「更地」と表します。
⑤高圧線下にある土地
土地の全部または一部が高圧線下にあるときは、その旨とおおむねの面積を表示しなければいけません。
また、建物その他の工作物の建築が禁止されているときは、「高圧線下につき建物等の建築不可」等と表示されます。
⑥傾斜地を含む土地、不整形地など
傾斜地を含む土地で、傾斜地の割合がおおむね30%以上の場合や、30%未満であっても傾斜地を含むことで土地の有効な利用が著しく阻害される場合などは、傾斜地を含む旨及びその面積が表示されます。
また、崖地の上もしくは下にある場合もその旨を記載します。
土地の有効な利用が阻害される著しい不整形地などについても、その旨が表示され、有効敷地面積●●㎡と記載する場合もあります。
⑦建築条件付き土地
建築条件付き土地とは、契約後一定期間内に、土地の売主、あるいは売主が指定する建築会社との間で、建物の建築請負契約を締結することを条件として売買される土地のことです。
⑧告知事項あり
この表現の多くは事件・事故・自殺などの履歴を表す「心理的瑕疵」を表します。
不動産業者の内容
①取引様態
広告を掲載している不動産会社の取引様態(立場)が必ず明示されます。不動産会社の取引様態によって仲介手数料が変わります。
媒介 | 売主と買主の間に立って取引を行うので、基本的に仲介手数料が発生します。売主と買主の間に仲介会社が1社の時と2社の時とありますが、売主でも買主でも手数料は1社にしか支払いません。 |
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売主 | 土地・建物等を不動産会社が自ら保有し、直接売却する立場なので、仲介手数料はかかりません。 |
代理 | 売主の代理人であることを表します。基本的に仲介手数料はかかりません。 |
②免許番号
例) 株式会社テスコーポレーション 東京都知事(6)第072713号 |
不動産会社名と一緒に免許番号が記載されています。
宅地建物取引業において必要となります。例の場合、免許権者は東京都知事となります。
事務所が複数の都道府県にある場合は国道交通大臣が免許権者になります。()内の数字は免許の更新回数です。
数字が多いほど、営業年数が長いことを表します。
1996年以降は5年に一度の更新で、それ以前は3年に一度でした。
例は平成4年からなので、免許更新回数は(6)となります(平成31年現在)。(1)の場合、設立5年未満の会社です。
違法広告
①おとり広告
集客のために虚偽の誇大宣伝を謳う広告をいいます。
景品表示法第4条第1項第3号の規定に基づく「不動産のおとり広告に関する表示」において不当表示と規定された広報内容はおとり広告とみなされます。
不動産広告で実際にはない架空物件、あっても既に売却が済んでいる物件、所有者に売却の意思がない物件などがおとり広告にあたります。
②デメリットの非表示
同ページ「不動産広告の見方 物件の注意すべき内容」にある内容など、購入するかどうかの判断に影響を与えるような内容は広告に記載しないといけません。
例えば、「再建築不可」だから価格が相場より安く販売されているのに、「再建築不可」と広告になければ、広告を見た人に掘り出し物と誤認させてしまいます。
③二重価格の表示
販売したい物件に対し割高表示の不動産を比較表示し、実際販売価格を低価格と誤認させる広告をいいます。
例えば、新古住宅を販売するときに、当初分譲していた価格も表示して「通常6,000万円が今なら4,000万円」などといって販売することはできません。
但し、新古住宅を以前の価格と合わせて記載する場合、本当に値下げより3ヶ月以上前に公表され、3ヶ月以上販売していたが、「売れなかったときの値段」であれば、二重価格表示になりません。
④使用できない表現
「完璧」、「抜群」、「最高」、「格安」などの表現は優良誤認表示ともいい、具体的な根拠を併せて乗せなければ広告に使用できません。
⑤広告の時期
造成許可が必要なのに、それを受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない分譲地の広告や建物の建築確認を受けていない新築の分譲地の広告は出せません。
新築の分譲住宅の広告にはその建物の建築確認番号を記載しなければなりません。
そのため、間取りが確定していない広告(広告に間取りはでているが、間取りは替えれますという内容のもの)は違法となります。
⑥捨て看板など
よく電柱などに設置されている広告は同ページにある「不動産広告の見方 物件の基本的内容」にある広告に載せなければならない内容が記載されていないため、違法となります。
看板を電柱などに設置しているときは軽犯罪で逮捕することも可能です。
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